hidesignlab.™ blog

音のない世界で音を出すということ

Ameria [La La La Human Steps, 2003]

date
19 Nov. 2005
category
keywords
  • art, contemporary dance, movie, Communication
comments
(1)
trackback
(0)

近々ダンスを見にでかけよう。そう思えた60分間。

身体のすべて —手、足、腰、頭部はもちろんのこと、目の瞬き、鼻の穴の収縮、顎の痙攣、小指の関節の屈伸に至るまで —そのすべてを使って、見たことのない超人的な動きを繰り広げるダンサーたち。関節として曲げられる部位であればあるときは暴力的なまでに折り曲げられ、またあるときは全身を使ってオーガニックカーブを描き出し(それは神秘的なまでに美しい)、あるいは直立不動、微動だにせず静止したかと思えば、機械仕掛けの時計よりも正確(そして破壊的な)秒針と化した手先—。僕は画面から目をそらすことができなかった。

彼らは、音のない世界で音を出しているのだ。

そう思った。今回鑑賞した「アメリア」は大部分が無音で進行する。それはまさに、無音で迫りくる狂気と対峙した60分間であった。そして間違いなくその音のない音は僕の耳にしっかりと届いていた。暗号のような反復運動は起伏の激しい名の知れない音楽となった。それは紛れもなく人生だった。言語があまりにも貧弱であることに、言語によるコミュニケーションに思考も感情も規定されてしまっている人間という存在に(はたしてそれは自分のことなのだが)、嫌でも気づかされた。

コンテンポラリーダンスを初めてまじめに見たのもちょうど一年ほど前のこととなるだろうか。そのときはやはり超人的な身体表現に多少の興奮を覚えた。それから一年が経過して、人間には表現の可能性がまだ残されていると今回改めて再認識することになった。それは、単に僕の知っている世界がまだまだほんの小さな庭園ほどの大きさでしかないからかもしれないが、そう思えるうちはきっと幸せに違いない。近々、ダンスを見に行こう。


エドゥアール・ロックの Aモード・ステレオ
バレエ「アメリア」
NHK BS2 クラシック ロイヤル シート
11月19日(土) 00時30分23秒〜01時31分23秒 [1時間01分00秒]
〈 ダンス 〉
ラ・ラ・ラ・ヒューマン・ステップス(La La La Human Steps)
アンドレア・ボードマン
ナンシー・クロウリー
ミスタヤ・ヘミングウェイ
キア・ナイト
シュン・ホン・リー
ベルナール・マルタン
ジェイソン・シプリー・ホームズ
ビリー・スミス
ナオミ・スタイクマン
ゾフィア・トゥカヤ

振 付 : エドゥアール・ロック
音 楽 : デーヴィッド・ラング
詩 : ルー・リード
チェロ : アレクサンダー・カストンゲイ
バイオリン : シモン・クロード
ピアノ : ニョー・コン・キー
ヴォーカル : ナディーン・メダウォー
[ 収録: 2003年, AMERIMAGE SPECTRA MEDIA PRINCIPIA /
CBC / ARTE (カナダ, フランス) ]