写真展に行ってきました。
東京国立近代美術館:ドイツ写真の現在 — かわりゆく「現実」と向かいあうために
国立近代美術館は、去年の夏にブラジル現代美術展に行った以来今回で2度目。その時は、ミゲル・リオ・ブランコ [Miguel Rio Branco (1946- )]の作品と出会って衝撃を受けた。彼の作品はまるで絵画のような写真だった。
展覧会の特徴は、「現代写真を代表する5人の作家+台頭めざましい5人の作家を紹介」と、著名な作家の作品を一同に鑑賞できる貴重な内容。予備知識なしでのぞんだせいもあってか、純粋に作品を感じることができてよかった。全部回って一時間とちょっと。心なしか分量に物足りなさはあったものの、収穫あり。ブックレット買えば良かった。
以下レビュー。僕はまったく写真素人なわけですが、と前置きしておく。
ベルント&ヒラ・ベッヒャー [Bernd & Hilla Becher (1931- /1934- )]
インダストリアル好きな僕にヒット。特に、まるでタイポグラフィーのような組作品が印象的。
アンドレアス・グルスキー [Andreas Gursky (1955- )]
今回もっとも衝撃を受けた作家。美しさの裏には棘がある、そんな印象。ダイナミックな構図や色彩は一方でどことなく幻想的で不思議な世界観を醸し出す。純粋に画として美しい。しかし背後には痛烈なまでの現代批判が隠されている。
- 大阪
- おびただしい量のゴルフボール、豚小屋のように狭い区画からそれを打ちまくる人々。背後に写る集合住宅とのアナロジーがなんとも皮肉。
- グリーリー
- 整然と区画された柵の中に雑然とたむろする牛たち。その様はまるでウサギ小屋と揶揄される日本の住宅街のよう。
- サンパウロ、セー駅
- なんじゃこりゃぁという列車を待つ人の列、列。でも東京もこんなだ、きっと。
- ライン川
- 横幅3.5mもの大画面を貫く水平線。純粋に美しい。
ミヒャエル・シュミット [Michael Schmidt (1945- )]
新聞写真なども素材に。構成主義的な軍隊の写真が印象的だった。
ヴォルフガング・ティルマンス [Wolfgang Tillmans (1968- )]
とても一人の人物の作品とは思えないバリエーション。自由だ。色がきれい。
トーマス・デマンド [Thomas Demand (1964- )]
ヒトラー暗殺未遂事件など社会的な事件を取り扱う。が、撮影するのは当時の現場をほぼ実寸代の紙模型。クレイジーだ。
ハンス=クリスティアン・シンク [Hans-Christian Schink (1961- )]
グルスキーの作品がワクワクするものだとしたら、シンクの作品はドキドキするものだった。恋心。「大自然に巨大人工物ドカーン」フェチな僕の心を捕らえて止まない。加えて「直線(特に画面を貫く)フェチ」、「際(特に自然と人工物)フェチ」でもある僕は、ここであえなく撃沈。そんな圧巻の映像の中にアヒル(白鳥)も登場と、キュートな遊び心も忘れない。写真集買いで。
ハイディ・シュペッカー [Heidi Specker (1962- )]
自由な作風。ドット(水玉模様を背景に木を撮影)が印象的。
ニーマイヤーの作品ってどれだったんだろ?
ロレッタ・ルックス [Loretta Lux (1969- )]
今回一番のミステリー作品。いったいどうやって作っているんだろう?まるで画に描いた人形のような幼子は、近くに寄ってみると紛れもなく血の通った人間の子。スケールや光のトーンがアンバランスな背景合成とも相まって、不思議な世界観を演出。ヒズ・ワールド炸裂。
べアテ・グーチョウ [Beate Gutschow (1970- )]
20〜30点もの写真を素材に合成して作られた作品だと知って驚く。現代人に自然とはこういうものだと刷り込まれている事実を突きつけられる。そして現代日本人は西洋の自然観を違和感なく受け入れてしまっているという現実も。初見、合成と知らずに見れて良かった。
リカルダ・ロッガン [Ricarda Roggan (1972- )]
廃墟から持ち出した家具をスタジオ内で再配置して撮影する手法。このひともまたクレージー。好きだけど。